遅刻のわけ。
「朝だよ鬼道くーん?」
目覚まし音と交差して、ある声が聞こえてくる。
目覚まし音と同じくらい近くに聞こえる。
「・・・ん、目覚まし・・」
「あ・・わり、うるさくて壊した」
へぇ・・壊したのか。
まあ、らしいといえばらしい・・・・って。え!?!?
「こ、壊した!?!?!??!」
いきおいよく俺は起き上がった。
--ゴンッ
「いって・・・っにすんだよ鬼道くん!!?」
顔面に不動の顔があったらしく、不動は顔を抑えていた。
「こ、これは・・俺が誕生日に春奈からもらった目覚まし時計・・・」
壁にめり込んでいる目覚まし時計を俺は手に取った。
「あぁ、鬼道くんがこんな時計買うワケないと思ってたけど、やっぱりそういうことか」
納得しながら、俺から時計を奪い取る不動。
「なっ、不動・・お前この間も壊れた時計取ったっきり、返してくれなかったよな」
不機嫌そうに言うと、不動は時計を片手で持ちながら、笑いながら謝ってきた。
「んなことより、長話してるとまた遅刻だぜ??」
お前が毎朝くるからだろっ・・・。
そう思いながらも、俺は急いで制服に着替えた。
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「ったく、もっと早く着替えられねぇのかよ・・・鬼道くん?」
ふ、普通だろ・・・。
これ以上早く着替えられる人がいるのか?
「不動・・・お前は何分で着替えたん・・ングッ!?」
「しゃべる暇あるなら早く食べろよな?このままじゃ、ほんとに遅刻だぜ??」
俺が話してる途中、焼きたてのトーストが口の中に入ってきた。
怒る暇もなく、俺はトーストを急いで食べた。
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身支度を終え、玄関の扉を開けようとすると、急に肩に手を置かれた。
振り返ると間近にある不動の顔。
驚いて目を見開いていると--
「これ、忘れてただろ??」
目の前で、俺のゴーグル(なのか?)・・を、ちらつかせている。
「あぁ・・・悪いな」
不動から受け取って着けていると
「俺以外の奴の前でとるなよ??」
------ドキッ
な、なんだ??今の・・・・。
少しずつ顔が熱を帯びていくように熱くなる。
「なんだ・・何固まってんだよ」
不動が両手を頭の後ろにやって、首を傾げている。
焦って俺は、急いで扉を開けた。
--ガチャッ
「・・・・っと!!?」
あけた瞬間、段差につまづいてしまった。
転びはしなかったが、明らかに恥ずかしい。
すると、近くから小さな笑い声が聞こえた。
「フッ、何してるんだよ鬼道くん??」
口角をあげて笑う不動の口を、俺は抑えつけた。
「・・・・っ!?!?!??!」
不動は驚いて目を見開いていた。
「俺以外の奴に、そんな顔見せるなよ??」
これは、さっきと同じ光景。
不動の口から手を放すと、不動の顔は真っ赤だった。
「フッ・・・顔真っ赤だぞ」
「なっ、わかってんなら言うなよ・・っ//」
だんだん真っ赤色を増していく不動を俺は微笑ましくみていた。
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「あ、そうだ・・鬼道くん?」
「そのくん付けやめないのか・・・??」
通学路を歩いていると、不動が話しかけてきた。
「んなの俺の勝手だろ??それより、手出せよ」
何を渡されるんだ・・・・?
手を出すのを拒んでいると、無理やり手を引っ張り出された。
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これ・・・・
「この前壊した時計・・・治しといたから」
そ、そうだったのか・・・。
「・・ありがとな」
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「フッ、鬼道くん。顔赤いぜ??」
「・・不動も顔赤いぞ??」
お互いを指差して、俺達は一緒に笑いあった。
--結局学校は遅刻。
でも、なんだかすがすがしい気分で先生の説教を受けていた。
Today...2013/1/7....End